人口はおよそ6万3千人。1947年3月15日に麹町区と神田区とが合併して誕生した特別区、それが千代田区です。本の街神保町も千代田区なので、本好きさんなら一度は訪れたいと思うはず。
そんな千代田区には、歴史の香りが残る場所が数多くあるのです。今週末、あるいはちょっと早く帰った平日に、ふらっと千代田区、いかがでしょうか。
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千代田区いかがでしょう
東京駅や古書店街、皇居が有名な千代田区だけど、実は穴場スポットも多いのです。東京を楽しみたいけど人混みはちょっと……なんて人も楽しめる、それが千代田区の魅力!
- 旧万世橋駅
- ニコライ堂
- 神田明神
- 甘酒巡り etc…
書いているときりがないけれど、ゆったりとしたペースで東京を楽しめるのも千代田区のいいところ。一気に書き抜くには量が多すぎますので、フォーカスを定めて少しずつ書き足していこうと思います。
第一回|「上質な静寂」を求めてニコライ堂へ!
最初にご紹介するのは、東京メトロ御茶ノ水駅から徒歩6分の場所にあるニコライ堂。
下に示すとおり、拝観時間が遅めの設定なのでゆったりスタートでも大丈夫(むしろ朝はゆったり推奨かも?)。
毎日
夏季(4月〜9月) PM1:00 〜 PM4:00
冬季(10月〜3月) PM1:00 〜 PM3:30
献金 300円
名大通りから少し入った場所にあるニコライ堂の最寄り駅はJR御茶ノ水駅か東京メトロ千代田線の新御茶ノ水駅。
東京メトロを利用する場合は、写真の通り丸ノ内線にも「御茶ノ水駅(新がつかない御茶ノ水駅)」があって少しややこしいので注意してくださいね……!
ニコライ堂って?
ビル街の真ん中に凛と佇むニコライ堂。緑色の大きなドームが特徴です。
ニコライ堂というのは愛称で、正式名称は東京復活大聖堂といいます。日本では有数のビザンチン様式の建築で、1962年に国の重要文化財に指定されています。
1884年(明治17年)から7年の歳月をかけて、建築家ミハイル・シチュールポフ、ジョサイア・コンドル博士の設計のもとに建てられたそう。
1923年の関東大震災で鐘楼とドームが崩壊した後に復興した姿が、現在のニコライ堂となっているようです。
高い建物がひしめき合う現代でさえ目を引く立派な建物なので、当時は遠くからでもよく見えたんだろうなあ……!
いざニコライ堂へ。
先程最寄り駅はJR御茶ノ水駅だと書きましたが、自宅最寄り駅の都合により今回は東京メトロ丸ノ内線の御茶ノ水駅からスタート。
少し歩いてから、JR御茶ノ水駅前の地図でニコライ堂の位置を確認してみると……。
道なりに歩き、右に曲がればニコライ堂に辿り着けそう。
レモン画翠さんに立ち寄ろう!
ニコライ堂までの道中には、
レモン画翠さんがあります。ニコライ堂のすぐそばなので、ゆっくり店内を見て寄り道しても大丈夫!
拝観時間より早めに到着して、レモン画翠さんを見て回るというコースも素敵*
おしゃれな文具から専門の現場で使われる本格的な道具まで揃っているので、文具好きさんは見逃せないお店です。
かく言うわたしも、御茶ノ水駅に来ると必ず立ち寄っていたりします。インクをはじめとした画材もたくさんあるお店なので、ついつい長居しちゃいます……。
到着!
レモン画翠さんから4分ほど歩くと、ニコライ堂の緑色のドームが見えてきます。
どこにあるんだろう……? と思ったときは、スマホから顔を上げてビルの合間を見るとすぐに見つけられますよ!
到着しました、ニコライ堂。すでに凛とした空気が伝わってきます……!
黒い服を着た司教さんの姿もちらほら。
ここで、十字架の形に注目してみてください。
いわゆる十字架の形とは、少し違う形。
これは、スラヴ系の正教会で使われている『八端十字』という十字架だそう。
ニコライ堂はプロテスタントでもカトリックでもなく、ハリストス(キリストのギリシャ語発音)に始まる初代教会の信仰を継承してきた教会なので、八端十字が用いられているんですね。
(もちろん、正教会にも一般的な十字架=ラテン十字やギリシャ十字=プラス型の十字もあるよ!)
ちなみに、上の短い横棒は十字架にはられた罪状札(罪人がどんな悪いことをしたかが書かれている札)を、下の斜めの横棒は足台を表しているんだって。
門をくぐって左手の案内板に目を通したら、入り口で拝観献金を渡していざ聖堂内へ。
聖堂へ入ってみたよ
※聖堂内は写真撮影禁止です。以下、文字だけでのお伝えとなりますがご了承を……!
いざ聖堂内へ、とさらりと書きましたが、大多数の人は入り口で戸惑うはず。
そう、拝観献金を渡すとニコライ堂のパンフレットと一緒に黄色いろうそくがもらえるんです……! 長さにして20 cmくらいの、立派なろうそくです。
わたしは戸惑いました。速攻で係の方に質問しました(無知でごめんなさい、そして優しく教えて頂いてありがとうございました……!)。
黄色いろうそくについて
受付を通って前に進むと4本の大きな柱があり、それぞれにマリア様やキリストなどを描いた「イコン」が掲げられています。
その前にはてっぺんに赤いろうそくがある燭台があり、火が灯された黄色いろうそくが何本かさしてあるので、「これだ!」と思ったイコンの前にある燭台に黄色いろうそくをさしましょう。
このとき、注意しなければならないのが赤いろうそくから火を継がないこと。
というのも、赤いろうそくが消えてしまうと不吉だから。
また、赤いろうそくは高い位置にあるので、無理に火を継ごうとすると燭台をひっくり返してしまう危険もあることから、黄色いろうそくから火をもらって、空いている場所にそっとさすようにしましょう。
信者さん以外は4本柱の手前まで
さて、燭台にろうそくを灯したあと、改めて聖堂内を見ると4本柱の向こう側にはごく数名の人しかいないことに気が付きました。柱の間にもロープが渡してあるので、ひと目見ただけで「この先立入禁止」だということがわかります。
尋ねてみると、4本の柱の先に進めるのは正教徒(=信者さん)だけとのこと。礼拝などのときも正教徒さん以外は少し後ろの席からになるけれど、参加OKだそうです。
よく見ると、正教徒さんは入り口で少し長めの黄色いろうそくを受け取っていました。
さて、この頃になると最初は薄暗いかな……? と思っていた聖堂内の明るさに目が慣れて、いろいろなものが見えるようになってきます。
壁にかかげられたイコンの数々、巨大なドームの裏側、十字の形をした聖堂のつくり……。
奥まで入ることはできなくても、入り口で聖堂建築の意味が記されたパンフレットがいただけるので、とても勉強になりました。今みたいな重機がない時代に、こんな大きなドームが造れた技術にも感動……ドームってどうやって造ったんだろう。
ニコライ堂での経験は、いろいろな「祈り」について勉強してみたいと思えるいい体験になりました。日本人は無宗教だと言われるけれど、祈りや文化について無頓着であっていい理由にはならないものね。
建築技法についても、時間をみつけて勉強してみたい……!
すんとした上質な静寂に浸りながら、普段忙しさを理由に見失いがちな自分自身を見つめ直す、上質な時間を過ごすことができました。
まとめ
都会の真ん中にいることを忘れられる静寂に満たされた場所、ニコライ堂。
人混みに疲れたとき、時間に追われっぱなしのとき、一人で遠くに行きたいとき。そんなときに、ふと足を運びたくなる場所になりました。
人々の祈りが静かに積み重なってできた空間の中で、見失いかけていた自分と再び出会うことができるかもしれません。
次は「旧万世橋駅」を旅してみようと思います。
都会の真ん中で楽しむ小旅行、みなさまもぜひ足を運んでみてくださいね。
それでは*