「生徒に信頼される、いい先生になりたいと思います」
教師を志す人なら、誰もが思うことではないでしょうか?
でも、「いい先生」ってなんだろう。
今日は、わたしが学校で生徒に学んだ「先生」のあり方について書こうと思います。
Contents
あなたにとっての「いい先生」って?
さっそくですが、本題です。
ある人は、恩師を想像したかもしれません。あるいは両親かもしれないし、先輩や後輩、友達などなど、いい先生になりうる人はたくさんいるはず。
わたしは、自分自身を大きく変えてくださった恩師に憧れて「自分もあんな先生になりたい!」と思ったのが教員になろうと思った第一歩だったので、わたしの中にある「いい先生」とは、お世話になった「恩師」の姿そのもの。
どんな先生だったかというと、
などなど、枚挙にいとまがありません。
とにもかくにも、わたしの中にあったのは思い出と経験に裏打ちされた、最強にはっきりした「いい先生」の姿。
それを追いかけて追い越して、わたしが誰かの恩師になろう! なんて思っていたのに、いざ教員になってみると「いい先生」というのがなんなのか、一気にわからなくなりました。
「いい先生」と「自分」のギャップ
さて、いざ現場に入ってみるとそこは日々大量の仕事に忙殺される戦場。
授業に出て、実習に出て、部活を指導して時折保護者を交えての面談も。全力でこなすけれど、ふと脳裏をよぎるのは恩師の姿。
放課後指導を終え「先生、また明日!」と笑顔を浮かべる生徒たちを見送りながら、ふと「わたし、これでいいんだろうか」と疑問を抱くことも。
わたしの中にある「恩師=いい先生」の姿といまの自分の間には、とてつもないギャップがあるような気がしたからです。
かつてわたしが与えてもらったような安心感を、自信を、新しい視点や可能性を、わたしは生徒たちに与えることができているだろうかと思った途端、
以降、生徒たちに全力で向き合う→恩師がよぎる→だめじゃん!の無限ループです。
そしてある日……
もやもやしているとはいえ、生徒たちと過ごす時間は充実そのもの。指導中は全力集中なので、「あれでよかったのかな……もっとできたことあったんじゃ……」と後悔するのは読んで字のごとく指導が終わったあとがほとんど。
そんなある日、休み時間中に「とある先生が気に入らない!」という生徒たちが愚痴をこぼしにやってきました。
※わたしの勤務校、教育熱心な先生が多くないせいもあり、結構な頻度で生徒と先生が衝突するのです。
「いろんな学校があるよ! 先生もいろいろだよ!」ということについてはまたの機会に別の記事でお伝えするとして、愚痴を聞き終わってしばらくの後、わたしは思い切って生徒たちに直接尋ねてみることにしました。
正直、わたしはさほど専門分野に精通しているわけではありません。
工学を専攻して大学院を出たけれど、そのときの専攻は「高電圧」と「原子力工学」。
一方、いまわたしが教えているのは「機械工学」。
配属されてから死ぬ気で勉強したとはいえ、やっぱりそれを専門に学んできた先生方との知識の差は歴然。実習などで「どうしたらいいの!?」となり、先輩先生の力を借りることもしばしば。
努力をしていることと、実際にわかりやすい指導ができているかどうかは別問題。
ぶっちゃけ、わかりやすさや技術では他にもっと優れた先生いるよね、という話をしたところ、生徒たちは意外な答えを返してくれました。
教え方の上手い下手は問題じゃない
びっくりでした。
最後の一言だけは聞き捨てなりませんでしたが(笑)、いままでくよくよ悩んでいたのが馬鹿らしくなるくらい、生徒たちは明快な答えをぽんぽんと返してくれました。
いじれる=信頼関係ではない
それから、もう一つ生徒たちの会話から学んだこと。
話題になった「いじってくる先生」と生徒が笑い合う姿をよく見かけていたので、(ちょっと絡みが軽い気はするけど良好な関係を築いているのかな……?)と思ったら
ここで、わたしは当たり前のことを忘れかけていたことに気が付きました。
生徒はもう「こども」じゃない
小学校はわかりませんが、中学校の高学年〜高校生にもなると生徒はぐっと大人になるような気がします。
年下だと思って甘く見ていると、すぐに見透かされます。
大人だから許されると思っていると、そういうやつだと認識されます。
そういうやつだから仕方ない、と生徒のほうが先に愛想を尽かすのです。
先生が生徒を評価するように、生徒もまた先生を評価しています。
子供だから、同じテンションで接してくる先生のほうが「いい先生」に違いない。
子供だから、難しいことは言わず怒らない先生のほうが「いい先生」なんだろう。
いい先生は現場にいる、という言葉の意味が、1つ理解できた気がします。
生徒は最大にして最強の「先生」
これらのことは、大学では決して得られない視点だと思います。
現場で生徒と接し、ともに学んでいるからこそ知ることができたことだなあと感じます。言葉の内容はもちろんだけど、そのときに感じたことも含めて、大きく成長できた気がしました。
教員に限らず、現場から離れるほどに自分の感覚は現場の感覚からはずれてゆくもの。
これから先生になる皆さん、大切なことはきっと生徒のほうがよく知っています。
授業時間のみならず、休み時間、行事、部活や課外活動を通して、生徒と学び生徒に学ぶ機会を大切になさってくださいね*
生徒から学んだことは、きっとあなたの最高の宝物になるはずです。
それでは*