このページを見ているということは、きっとあなたは「先生」を将来の進路のひとつとして捉えているはず。
そんなあなたに、先生になる前に知っておいて欲しいことを10個、お話します。
緊張しないでOK!
肩の力を抜いて、お茶でも用意して、リラックスして。
それでは参りましょう*
追記:五年目の感想を記事にしました。いろいろなことを経験して、いろいろなことが見えるようになってからの感想、何かの参考になれば幸いです◎
Contents
1|学校にはふたつの世界がある
突然なんのこっちゃ、と言いたくなる見出しですが、いちばん大切なことです。
当たり前ですが、学校には「生徒」と「先生」がいます。それぞれに世界があるわけですが、ふたつの世界は全く別のルールで成り立っている世界。
小学校低学年のころは曖昧でも、高校生くらいにもなると世界の境界線ははっきりします。
生徒たちの世界で問題が起きたとき、生徒が悩んでいるとき、『わたしが解決してやろう』とか『これが正しい』と考えるのはNG。
2|先生がゴールじゃない
教員採用試験に合格して、晴れて先生!
先生になるまでもたくさん勉強したけれど、先生になってからのほうがずっと、勉強をする機会って多い気がします。
いま、自分の中にあるのが『最新の知識』でも、5年もすれば知識の鮮度はガタ落ちです。
恐ろしいことに、流行やセンスといったものの鮮度も落ちてしまいます。
わたし自身、『あの先生の授業、ためになったな』と思う先生の授業には、常に最新の知識や今どきの子の感覚を反映した言葉が取り入れられていたように思います。
学生のときは講義に出るだけで手に入れることができた知識も、社会人になると自分から探しに行く努力をしなければいけません。
しかも運が悪いことに、先生の仕事は忙しいし、付き合いで飲み会なんかも入ってくるし、勉強ができない理由は探さなくてもいいくらい豊富に揃っているのが現実。
3|流されるくらいなら流す覚悟も必要
先生を目指す人の心の中には「こんな先生になりたい」という理想があるはず。将来のことを考えるだけで目がきらきらしちゃうくらいの熱意を胸に、初めての学校に赴任してから少しすると、心の中に変なものが生まれることがあるかもしれません。
変なものというのは、つまり『あれ……? なんか思ってたのと違うぞ……?』という違和感。
やっぱり、仕事に対する考え方は人それぞれ。余計なことはしたくない人だっているし、120%くらいの力を出したい人もいる。
一番やっかいなのが、「それっぽいこと言ってるけど要するにサボりたい」ひと。
年上だったり先輩だったりすると反論し辛いけれど、あなたの行動を決めるのはあなた自身。
迷ったら、常にこの質問を頭に入れておくと吉。
4|先生がいない不安について
これは主に担任を持つようになってから、大切になってくること。
担任の先生は、特に「居場所(かっこいい言い方すると所在)を明らかにしておく」ということが大事。生徒たちは色んな理由で、急に担任の先生を頼らざるを得ない状況に陥るもの。
みなさんの中学、高校時代を思い返してみてください。
いろんな書類に担任印が必要だったり、奨学金を借りた経験のある人なら担任所見をもらわなきゃいけなかったり、進学や就職で急に確認事項が出てきたり。
そんなとき、担任の先生がどこにいるか分からないというのは生徒にとってめちゃくちゃ大きなストレスになります。
とうぜん、生徒だって他にやらなきゃいけないこともある。もたもたしてたら先生だって帰っちゃうかもしれない。でも締切は迫ってる。生徒に落ち度があったら仕方ないかもしれないけれど、生徒自身じゃどうしようもない理由のときはなおのこと焦る。死ぬほど焦る。
わたし自身、学生のときはこう思ってました。
もちろん、先生も仕事があるので所在を明らかにするっていうのは簡単じゃない。
だから、例えば昼休みの間、ごはんを食べ終わったら生徒と雑談しがてら教室にいるとか、放課後は絶対職員室にいるよとか、いなかったら運動場で部活か教室にいるよとか、そういう伝え方でも大丈夫!
それと、このことを折に触れて伝えること。生徒に「またかよ!」って思われるくらい。「もうわかったよ!」って言ってもらえたらしめたもの。
お腹出して寝ちゃだめよ! って言いまくってたお母さんの気持ち、いまならめちゃくちゃよく分かる。
5|職員室は先生の世界
職員室は、先生の世界。つまり、大人による大人のための世界。
教員の人手不足が話題になるときに『教員の長時間労働』が原因だと言われているけれど、職員室内の人間関係(いわゆる派閥)もかなりの確率でうつの原因になっているような気がする。
違う派閥の先生には仕事教えないとか。
嫌いな先生がいるから会議出ないとか。
あの先生は嫌いだから挨拶しないとか。
生徒に『挨拶しろ!』なんて怒鳴っている先生が職員室では……なんてこともしばしば。
※このあたりは、本当に学校によります。全部の学校がこんな感じ、というわけじゃないよ!
協調性っていろいろあるよという話
もちろん、先生方の協調性はとても高いと思います。だけど「協調性」というのにもいろいろあって、学生時代の協調性が「みんな仲良く」色が強いとすれば、職員室の協調性は「波風立てずに」一緒に仕事をする色合いが強い気がします。
同じような気がするけれど、この協調性の違いがさっき書いたみたいな「はっきりした好き嫌い」になって現れるのが職員室。
生徒のほうも、自分の個性にあった指導をする先生のもとに自然と集まる、っていう緩やかな個に応じた指導が(ごく自然発生的に)行われています。
勘違いしちゃいけないのは、どの先生も『生徒のため』を考える気持ちは一緒ということ。
だから、いざというときの団結力は凄まじいものがある。
生徒を思う気持ちが強いからこそ、アプローチ方法の違いや指導方法の違い、先生同士の価値観の違いが「あの先生(のやり方)は嫌いだ!」というオーバーヒートを起こすんじゃないかな、って思っています。
……わたしが工業高校にいるってこともあって、わたしも含めてこのへん不器用な先生も多いです。
だから、たまに思うのです。
6|いろんな先生がいるからこそ、いい学校ができる
こういう先生が素敵な先生です!
という、いい先生のテンプレートというのは1つもないんだな、というのが、先生をやっているわたしの素直な思いです。
初任のうちは特に、ベテランの先生方と比べて「わたしって本当だめだな……」「きつく怒れないし……」「面白いこと言えないし……」と悩みがち。
だけど、自分にしか実現できない先生像っていうのが必ずあるはず。
生徒の話をよく聞いてあげられるとか、突拍子もない夢でも生徒が本気なら全力で応援しちゃうとか。
自分がいちばん得意なこと、意識せずにできること。
これを伸ばすことが、すてきな先生になるための一番の近道じゃないかな、と思います。
もし、あなたが今、「わたし、先生に向いてないかも……」と思っているなら、心配いりません。
いまの自分にできる最大限を重ねてゆけば、いつか理想の自分を超えられる。
あなたにしかないものを見失わずに、たまに立ち止まりながら、ゆっくり進んでゆきましょう*
この記事が、先生を目指すあなたの一助となれば幸いです。
折に触れて、少しずつ項目や記事を追加してゆく予定ですので、思い出したときにちらりと覗いていただけたら嬉しいです!
それでは*