2025年6月の購入本
みなさまこんにちは、伊佐奈 瑛(@IsanaAkira)です。
今日は6月に購入したおすすめ本&お気に入りを紹介します。
井筒俊彦「意味の深みへ」(岩波文庫 青185-4)
つまり、簡単に言ってしまえば、人は存在するという、まさにそのことによって「書」いているのである。
ー意味の深みへ「書く」p.140

5月の購入本で書名を紹介した「言語と呪術」の井筒俊彦さんの本!
分厚いけれど半分ほどは解説です。公演が元になっていることもあって、論文というよりエッセイ集に近い感覚で読み進められるのではじめて井筒俊彦にふれるよ! という人にもおすすめです。
前半は「言葉」は世界の認識や文化にどのような影響を与えるか? ということがテーマ。翻訳することによって、元の言語が持っていた「匂い=気配、背景情報」が失われるという視点にはっとしました。
老子・ヘッセ「シッダールタ」と合わせて読むと、井筒の世界をより深く理解することができるように思います。

また、第五章「シーア派イスラーム」は昨今の中東情勢を理解するための参考になります。
日本においては「なんとなく怖い」というイメージが先行するイスラム教について、文化の面から理解を深める第一歩となるはずです。
ルイス・セプルベダ「カモメに飛ぶことを教えた猫」
(白水uブックス)
飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願ったものが、全力で挑戦したときだけだ。
ー「カモメに飛ぶことを教えた猫」
港町の黒猫・ゾルバが、瀕死のカモメと3つの約束(誓い)を交わすことから始まる物語。
- 瀕死のカモメ・ケンガーが産む卵は食べない。
- 雛が生まれるまで、卵のめんどうを見る。
- ひなに、飛ぶことを教えること。
1つ目と2つ目はゾルバ1匹でもなんとかできましたが、問題は3つ目。猫であるゾルバは、飛びかたを教えることができません。
港の猫たちと力を合わせてカモメに飛ぶことを教えることになるのですが――。

まず、港猫がみんなイケネコすぎる!
「港では、1匹の猫が名誉にかけて誓った約束は、港じゅうすべての猫の約束じゃ」など、数々の名言が飛び出します。こういう猫たちがいる港町で暮らしたい……!
百科事典を読む猫に、落ち着いているのにどこか抜けている猫。どの猫も個性豊かで、ひなを食べようとするチンピラネコまでもが愛嬌たっぷり!
猫たちは試行錯誤の末、自分たちだけが「飛んでほしい」と願うだけではだめだということに気づき、ゾルバはついに猫のタブーを破ることを決心します。
優しい世界で繰り広げられる素敵な物語、夢を追うすべての人に読んでほしい一冊です。
こちらのネコ世界もどうぞ:
5月のお気に入りでも紹介した「人間になりたがった猫」。今回紹介した「カモメに飛ぶことを教えた猫」と合わせて劇団四季のミュージカルになっています。

ミュージカルの原作本、他にも読んでみようかな? と思っています🐳
6月の気になる本リスト
以下は、6月に出会った積読本。夏の間に読む予定です📖