今回ご紹介するのは、グレッグ・マキューン著「エッセンシャル思考」。
明日から役立つというウリ文句は良く見るけれど、これは読んだ次の瞬間から役立つ、というか判断の基準そのものががらりと変わってゆくのが分かる一冊で、普段は小説ばかり読んでいるわたしですが、ビジネス書もいいなと思うきっかけに!
とはいえ百聞は一見にしかず、早速エッセンシャル思考に触れてみましょう!
Contents
エッセンシャル思考とは?
「エッセンシャル思考」というのは、ざっくり言うと「いま、本当に必要なものはなにか?」を見極めて選択するための考え方のこと。
下に、エッセンシャル思考の特徴をまとめてみました。
- より多くのことをやるための技術ではなく、(自分にとって)正しいことをやりとげるための考え方。
- エネルギーの使い所を必要最小限にして、いちばん重要なものごとにおいて最大の成果を上げるのが目的。
- それを実現するために「本当に力を注ぐべきことはなにか?」を問い続ける。
この「エッセンシャル思考」がよく分かる例が本の中で示されていたので、ちょっとアレンジしてご紹介したいと思います。
とある学校で、生徒たちに要約を書かせるという授業が行われた。要約する文章は以下の通り。
――本校の校長は、今朝、職員に向けて研修旅行のアナウンスを行った。
その内容はこうだ。
『来週の木曜日、教職員は全員、郊外で開催される教育技術に関する会議に参加すること。その会議では、著名な教育学者や心理学者、人類学者の公園も予定されている』
ちなみに、模範解答は以下の通り。
来週木曜は学校が休みだ。
心に残ったフレーズまとめ
絶対にイエスと言いきれないなら、それはすなわちノーである。
「エッセンシャル思考」とは何かが凝縮されたフレーズ。
遊びは、それ自体を目的とした行為だ。
これは、いろんな場所でも指摘されていることですね。
がっつり仕事っていう場合より、適度に遊びを挟むほうが仕事の効率もクオリティも上がります。
ノートや資料に落書きするのも、脳にとってプラスに働くみたいですよ!
ほとんどあらゆるものは、徹底的に無価値である。
ぐさっと刺さったフレーズ。著者の言葉ではなく、世界一のメンターと称されるジョン・C・マクスウェルの言葉です。
何でもかんでも頑張ればいいというわけじゃないよという趣旨のコメントに、気持ちが楽になるかもしれません。
悪くない程度の選択肢は、全て拒否したほうがいい。
頭ではわかっているんだけど実行しづらい系のフレーズNo.1。
高いお金払って参加するほどのものじゃないのはわかってるんだけどどうにも断りづらい……! というその思考そのものが枷になっていることはわかるけれど、抜け出す決断をするのは自分自身。
断り方や拒否の方法もいろいろあるので、他の本とも組み合わせつつ「合わないことに合わせない」姿勢を育ててゆくのも◎
「みんながやっているからやる」というのはかなり危険である。
TwitterやFacebook, Instagramが盛んな今日このごろ。
いいなと思うことや素敵だなと思うことにたくさん出会えるようになった反面「みんながやっているからやる」とか「バズりたいからやってみる」という理由でいろんなことに手を出しすぎてしまう傾向があるのもまた事実です。
この答えが絶対にYESではない場合は、ちょっと保留してみたほうがいいということもあるかもしれません。
人間は、関係性に縛られた生き物である。
その昔、人間が狩猟・採集をしていた頃。人間にとって「仲間」との繋がりは生死を分ける鍵そのものでした。
つまり、周りの期待にこたえることができなければ生き延びることができず、その記憶はいまも人の遺伝子の中に残っているという記述に納得。
雰囲気や流れに合わせてしまう、周りの顔色をうかがってしまうのは悪いことのように書かれることも多いけれど、こうして見るとごく自然なことなのかもと思うきっかけになりました。
人は、何でもがんばろうとしすぎる嫌いがある。
「非エッセンシャル思考の人は」という注釈付きですが、これは日本人にあてはまりがちな特徴。
いろんなことを頑張ることはたしかに素敵かもしれない。とにかくいろいろなことができる人=優秀というイメージがあるけれど、それって正直ちょっとしんどい。
本の中で、著者はこう続けます。
多くを求めて努力すれば、それだけ結果がついてくると思っている。
――現実には、欲ばれば欲ばるほど、動きが鈍くなってしまう。――エッセンシャル思考
働きすぎるということを選ぶ力を手放してしまうということと結びつける視点はとても参考になりました。
あらゆる仕事をバリバリ引き受けている人はぱっと見た感じ生き生きしてるように見えるけど、実はそうじゃないことも。
選びたくない選択肢を選ばざるを得なかったために、本当なら手に入ったかもしれないなにかを諦めてしまっているかも……というのは経験がありすぎてヒヤッとしました。
人は手元にあるものを過大評価する
これは仕方ないよね! と思いつつも直さなきゃいけないポイントだよなあ、と反省。
お金を払って手に入れたものの評価を高くしがちという動向は色んな場所で紹介されているけれど、これは毎日ひしひしと感じる……。
編集の4原則
編集者目線、編集、エディターというキーワード。
最近見かけることが多くなったような気がするのですが、このあたりの視点はそろそろブームが到来するんじゃないかなと思って眺めています。
編集の4原則は、以下の通り。
- 削除する:余分な選択肢を切り捨てる。
- 凝縮する:「言いたいことは最大限明確に、かつ簡潔に言えているか?」
- 修正する:間違った方向に進んでいないか?
- 抑制する:何もしないほうがいいこともある。
感想とまとめ
今回は「エッセンシャル思考」の読了記事をお送りしました。
「エッセンシャル思考」はなんと言っても即効性が強みの一冊で、本の中で紹介されていることがらは、誰しも経験したことのある「思考のモヤモヤ」「選択のモヤモヤ」だと思います。
何でも頑張ろう(というか頑張らなきゃいけない)と思っていたけれど、人間できることには限界があるということをすんなりと理解できたのが大きかったです。
そのおかげか、誰かにイライラすることも減り仕事のストレスもぐっと軽減されたように思います。
- 自分は何が大好きか?
- 自分は何がいちばん得意か?
- 世の中の大きなニーズに貢献できるのはなにか?
ということを軸にして考えられるようになったのは本当に大きな成長ポイント。
学生の頃に出会っていればもうちょっと悩みが減ったかもしれないと思う反面、社会人になったからこそ共感できる事例も多々あるので、今回紹介したフレーズにピンと来た方はぜひ試し読みをしてみてくださいね。
「エッセンシャル思考」がおすすめな人
- ミニマリストさん
- ミニマリスト志望者さん
- 相談に乗ることが多い人
- 新しい視点を手に入れたい人
- 大学生の皆さん(高校生だと共感できる事例が減るかも?)
- ビジネス書は苦手、だけどちょっと触れてみたいなと思っている人
- クリエイティブな仕事を目指している人