伊佐奈 瑛の100冊

伊佐奈のおすすめ本を引用とともに100冊積み上げる、ゆったりのんびりな企画。読了記事を書いているものは、該当ページのリンクも合わせて載せています。
ベストブックの基準は「何度も読み返したい、誰かにおすすめしたい一冊かどうか?」という質問に迷わずYESと答えられること。素敵な一冊との出会いがありますように!
Contents
- 1|川上弘美「センセイの鞄」
- 2|ジョゼフ・ディレイニー「魔使いの弟子」
- 3|池澤夏樹「スティル・ライフ」
- 4|梨木香歩「西の魔女が死んだ」
- 5|夏目漱石「草枕」
- 6|上橋菜穂子「精霊の守り人」
- 7|東直子「薬屋のタバサ」
- 8|谷川俊太郎「二十億光年の孤独」
- 9|長田弘「世界はうつくしいと」
- 10|灰谷健次郎「兎の眼」
- 11|遠藤周作「海と毒薬」
- 12|小川洋子「ブラフマンの埋葬」
- 13|笹井宏之「えーえんとくちから」
- 14|レイ・ブラッドベリ「華氏451度」
- 15|村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
- 16|村上春樹「海辺のカフカ」
- 17|小林秀雄・岡潔「人間の建設」
- 18|谷崎潤一郎「文章読本」
- 19|笹井宏之「えーえんとくちから」
- 20|遠藤周作「深い河」
- 21│プラトン「パイドロス」
- 22│川端康成「古都」
- 23│川端康成「山の音」
- 24│バガヴァット・ギーター
- 25│スピノザ「エチカ」
- 26│「老子」
- 27│ヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」
1|川上弘美「センセイの鞄」
センセイ、またいつか会いましょう。
2|ジョゼフ・ディレイニー「魔使いの弟子」
「どうだ、まだ怖いか?」
ぼくは首を横に振った。「いえ、悲しいだけです」
3|池澤夏樹「スティル・ライフ」
この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。
4|梨木香歩「西の魔女が死んだ」
ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ ヘ
5|夏目漱石「草枕」
足がとまれば、厭になるまでそこにいる。いられるのは、幸福な人である。東京でそんな事をすれば、すぐ電車に引き殺される。電車が殺さなければ巡査が追い立てる。
6|上橋菜穂子「精霊の守り人」
「……そう。その娘がわたしさ」
7|東直子「薬屋のタバサ」
「かまわないのですよ。あなたの意思で、何もかもを、終わらせてしまっても」
8|谷川俊太郎「二十億光年の孤独」
万有引力とは
ひき合う孤独の力である
9|長田弘「世界はうつくしいと」
うつくしいものの話をしよう。
10|灰谷健次郎「兎の眼」
「おおかたのセンコはわいらをばかにしとんじゃ。わいらのことをくさいいうたり、あほんだれいうたり、だいたい人間あつかいしてえへんのじゃ」
11|遠藤周作「海と毒薬」
「あの捕虜を殺したことか。だが、あの捕虜のおかげで何千人の結核患者の治療法がわかるとすれば、あれは殺したんやないぜ。生かしたんや。人間の良心なんて、考えよう一つで、どうにも変るもんやわ」
12|小川洋子「ブラフマンの埋葬」
しかし人々は、その明るさが幻に過ぎず、遠からずやってくる季節風の第二陣に呆気なく吹き消されてしまうことを知っていた。夏はもう帰ってこないのだ。
13|笹井宏之「えーえんとくちから」
廃品になってはじめて本当の空を映せるのだね、テレビは
14|レイ・ブラッドベリ「華氏451度」
われわれがただひとつ頭に叩きこんでおかねばならないのは、われわれは決して重要人物などではないということだ。知識をひけらかしてはならない。他人よりすぐれているなどと思ってはならない。われわれは本のほこりよけのカバーにすぎない、それ以上の意味はないのだからな。
15|村上春樹「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
他人から教えられたことはそこで終ってしまうが、自分の手で学び取ったものは君の身につく。そして君を助ける。目を開き、耳を澄まし、頭を働かせ、町の提示するものの意味を読み取るんだよ。
16|村上春樹「海辺のカフカ」
ものごとの境界線がだんだん消滅してきているんだ。あんたが猫の言葉を理解できなくなったのは、そのせいもあるかもしれないね。
17|小林秀雄・岡潔「人間の建設」
暗記するだけで意味が分からなければ無意味なことだと言うが、それでは「論語」の意味とはなんでしょう。それは人により年齢により、さまざまな意味にとれるものでしょう。一生かかったってわからない意味さえ含んでいるかもしれない。それなら意味を教えることは、実に曖昧な教育だと分かるでしょう。
18|谷崎潤一郎「文章読本」
思い出しますのは、昔は寺子屋で漢文の読み方を教えることを、「素読を授ける」と言いました。素読とは、講義をしないでただ暗読をすることであります。
19|笹井宏之「えーえんとくちから」
廃品になってはじめて本当の空を映せるのだね、テレビは
20|遠藤周作「深い河」
人は愛よりも憎しみによって結ばれる。人間の連携はアイではなく共通の敵を作ることで可能になる。
21│プラトン「パイドロス」
言葉というものは、ひとたび書きものにされると、どんな言葉でも、それを理解する人々のところであろうと、ぜんぜん不適当な人々のところであろうとおかまいなしに、転々とめぐり歩く。そして、ぜひ話しかけなければならない人々にだけ話しかけ、そうでない人々には黙っているということができない。
22│川端康成「古都」
「それ、ほんまなら、うちの店の前へ、捨てとくれやしたらよかったのに……。ほんまに、うちの前へ捨てとくれやしたらよかったのに。」
23│川端康成「山の音」
してみると、孫にまで、保子の面影をもとめようとするのだろうか。信吾は自分がいやになった。
24│バガヴァット・ギーター
私は世界を滅亡させる強大なる時間である。諸世界を回収するために、ここに活動を開始した。たといあなたがいないでも、敵軍にいるすべての戦士たちは生存しないであろう。
25│スピノザ「エチカ」
民衆は恐れを知らない時に恐るべきものである。
26│「老子」
無名、天地之始。
27│ヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」
世界を愛しうること、世界をけいべつしないこと、世界と自分を憎まぬこと、世界と自分と万物を愛と賛嘆と畏敬をもってながめうること